#4 主将 AT 佐藤駿

あまりのも多くのことがあった4年間で、全て書くと長くなりすぎるので三つのことについて書きましたが、長くなってしまいました。

『後悔』
2019年11月16日。
ただ呆然と獨協大学の歓喜を見るしかなかった日。
あまりにも自分が情けなさすぎて失望した。

俺は、闘う心を持てない本当に弱い人間だったと思う。自主練はしっかりしているはず、ウエイトも毎回追い込んでいる、映像も毎回見ている。なのに、活躍することにわくわくするよりも失敗が怖い。毎回の練習でも、いいプレーをしたい気持ちよりもミスしたくない気持ちの方が大きい。そんな気持ちを持っているやつがフィールドに立てるはずもなく、ましてや1部残留に力を貸せるはずもない。本当に、情けなかった。

それまで12年間競泳をしていた俺は、大学に入って初めてチームスポーツに取り組んだ。2017年のリーグ戦、獨協戦。初めて目の前でチームの勝利を見た。主将陸さんの大活躍と池さんのFOブレイクに応援席はお祭り騒ぎになっていたのを覚えている。こんな大勢の喜びの中の中心にいるってどんな気持ちなんだろう、得点後のあの輪の中心に自分がいたいと思った。

その気持ちを、長い間忘れて過ごしてしまった。

全然Dreamersになれていなかった。自分の活躍で勝つという夢よりも、自分の失敗で負けることを怖がるようになってしまった。下手くそなくせに、何を気負っていたのか。

このことは、後悔してもしきれない。周りが主力として活躍しチームを背負っていく中、2~3年の2年間俺は成長せずにストップしたままだった。そんな自分が、本当に本当に嫌いだった。このままだと、チームにいる意味なんか無い。自分の存在価値とは何なのか。ただそこに存在するだけのつまらない人間になってしまうと思った。

後輩たちには、こうはなって欲しくない。勝ちたいなら、心配にならないくらいの万全の準備をした上で、ミスを気にせずやることだ。準備をし尽くした上での失敗は、次に活かせる。俺がしっかりやっていると思っていた自主練などは、甘かった、それだけだ。俺が2017年のリーグ戦を見て感じたように、初心を忘れずにアホになって夢を追いかけることは、1番大事だと思う。4年間は本当に短い。俺のように、つまらない弱さで成長を止めて欲しくない。

『継続と発信』
新チームになるときに、どうしたら1部昇格を果たせるのかひたすらに考えた。

千葉大は、少しばかり頭でっかちになってしまっていると感じていた。いいコーチも、トレーナーもいる。しかし肝心の部員に「決めたことをやり抜く力」がないと感じた。これでいいっしょ、まあこんな感じじゃね?という勝手に定めた基準がなんとなく存在してしまっているのではないかと思った。

何を決定するかももちろん大事だが、今一度、決めたことをとことん全力でやりきることに焦点を当てるべきなのではと考えたし、そんなチームを作りたかった。いい意味で単純でバカになれるような。スローガンにAll Outを提案した理由はこれである。そのためには、全員の「当たり前の基準」を一部チームの水準にまで引き上げたいと感じた。

そんなチームを作れれば一部昇格が果たせると思っていたし、自分自信で考えたのだから、自分が主将をやりたいと自然に思った。それに、自分が主将をやらずにもし目標が果たせなかったら一生後悔するとも思った。目指すチーム像の象徴に自分がなることで自分自身が一番成長できて前年までの自分をBreakできるとも思っていた。

思い返すと、けっこう自己中だったなと思う。主将をやらせてくれて、ありがとう。

自分の役割は、全員の当たり前の水準を高めるための指針となり、体現すること。そのためには自分が自主練=成長の分かりやすい成功モデルとなり「ああやればいいのか」、「俺もあのくらいやってみよう」と皆に思われる必要があった(ここでの自主練は、ウエイトや映像など上手くなるためのすべてを含む)。それに、そうやって「あいつがやってるし俺もやろう」の輪を広げていくことが自分の目標であり、皆に求めるものだった。

自分は、圧倒的にラクロスが上手いわけではない分、沢山自主練してラクロス上手くなればそれが取り組みの基準としてチームに浸透しやすいと考えた。前年までの自分のふがいなさも、利用しようと思った。

まずは、どんな日でも「毎日」壁打ちを続けることを自分に課した。そして、それを周りに発信することにした。この行動は1年間自分を支えてくれたと思う。やると決めたことをとことんやりきるAll Outの象徴となるべく、そして自分が一番成長するべく、決めた。

毎日壁打ちを発信しているだけでは、「俺は自主練してますよ」とアピールしてるだけである。そこに結果を伴わせて初めて意味があるものだと思っていた。

洸希さんも常々言っていたように、過程がどうのこうのは終わってから言えることで、まずは貪欲に結果を求めないといけないと強く感じていた。だから、自分でもフィードが上手くなっていることや点がコンスタントに取れるようになってきたと実感したときに、洸希さんに「俺も壁当て始めた」と言われたり、壮良も毎日やっていると知ったり、研究室駐輪場の恭輔のチャリにクロスが立てかけてある時は、とても嬉しかった。

もっと強引に自主練を促しても良かったかもしれないが、それでは意味が無かったし、継続的にできないと思った。個人の内側からの変化が必要だった。
現役の時はじっくり考える余裕は無かったけど、新チームになって、直江が毎日壁打ちを継いでくれたことで、自分が主将だった意味が少しはあったのかなと思う。

プレーの面でも、毎日の壁打ちが自信となり弱気な自分はいなくなった。青学戦の最後は絶対にパス通してやると思っていたし、法政戦の追い上げられている時も更に点取ってやると思えていた。何より、試合を楽しめていた。Breakできたと思う。

後輩たちには、何か一つでいいから継続することを見つけて欲しい。そして、それを自分の中だけにとどめず発信して欲しい。

継続は、もしかしたら結果が出にくいことかもしれない。30日やって結果に表れなくても、31日目に結果が出るかもしれない。成果が出るまでは当然つまらない。けれど、試合も決まっていないチーム練習すらもできない中、あのきつい自主トレを乗り越えたのだから、並の忍耐力では無いと思っている。貴也さんにもさんざん教わった。できるようになるまでやり続ける、できるようになったら更にその上を目指して常に向上。
慣れてしまえば、やらないと罪悪感が湧くようになってくるから。そうなればもう大丈夫。積み重ねた日々は間違いなく自分を支えると言い切れる。

そして発信について。陰の努力と聞くとかっこいいと思うかもしれないが、それは個人競技でやっていればいいと俺は思う。全員で上手くなった方がいいに決まっている。急に一人で成長するよりも、発信したり周りを誘ったりしてから成長する方がかっこいいし、難しいと思う。発信しているからには自分が実際に成長していないと示しがつかないし。チーム全体での成長に繋がるのと同時に自分にかかる責任も大きくなる。本当に本気で取り組んでいるなら周りはわかってくれる。どんどん発信して欲しい。

誰もが誰かのインフルエンサーになれるという自覚を持って欲しいと思う。

『仲間』
ここでの仲間とは、現役含め千葉大学を応援してくれるすべての人のことをいう。今年は特に、仲間の力を本当に強く感じた。

シーズン終盤になるにつれて、歴代のOB・OGの方々が千葉大に残していったスローガンの力を実感することが多くなった。

試合も決まらない中、自分の活躍、チームの勝利を夢見て自主トレに励む日々は「Dreamers」だった。
自粛期間のきついトレーニングを鼓舞し合いながら楽しんで乗り切ったことや、押されている試合展開の中でも試合を楽しいと感じられていることは「双」のおかげだった。
何よりも、1部昇格が無くなってもすぐに2部優勝という目標に向かって動けたのは、全員が同じ方向を向いて同じ熱量を持っていたからだと思う。保護者、OB・OGの方々も沢山声援を送ってくれた。まさに「一丸」であった。

全てあげたらきりが無いが、これらが全て千葉大の血液としてチームに流れていることを強く感じた。26期の「All Out」がしっかりとチームの血液になっていることを、何年後かの後輩たちが感じてくれたらすごく嬉しい。

そして、同期が凄かった。皆それぞれ自分自身で勝ちたいと思って練習に励み、それぞれが勝つために日々を過ごしていたから、ありがとうというのはなんか違う気がしている。ただの仲良しじゃ無い、一緒に2020年を乗り越えた戦友のような感覚がある。

ウエイトだけでなくフットワーク練習も誰よりも懸命に取り組み、自粛明けには見違えるほど実力をつけていた倭人がいて、インバートでも一人で守れる強さを見せる真司がいた。二人ともチーム幹部ではないけど、ウエイトに責任を持つだったり、プレーで圧倒するという自分の役割を超えて周りにも要求したり誰よりも先にポイントに入って練習の空気を作ったりしていた。

皆が、チーム内での自分の役割を果たし、更にその上へと挑んでいると感じた。もはや役割と意識は無くそうしたかったからしていたのだと思う。

壮平はもう、最後の方はリーダーとして頼りになりすぎていた。シーズン序盤はOFが弱いと言われていたけど大会ではしっかり目標点数をとれるようになったのは、壮平が諦めずに周りに求め続けてくれたからだと思う。

同期はめちゃくちゃ少なくなっちゃったけど、4年間続けて本当に良かった。

最後の最後まで声援を送ってくれた保護者、OB・OGの皆さん、沢山練習に来てくれて目標となってくれた洸希さん、間違ってるときは渇を入れてくれたコーチの方々や貴也さん、4年間鍛えてくれた渉さん、本当にありがとうございました。

こうやって振り返ると、26期が洸希さんから得たものは計り知れません。本当にありがとうございます。

そして、新チーム発足時に自分を叱ってくれたテルさん、貴也さん。あれが無かったらと思うとぞっとします。それほど大きな出来事でした。ありがとうございました。

この4年間は、出会い、悔しさ、恐怖、高揚感、責任、多くのものをくれました。OBの皆さんや渉さんがそうであるように、この4年を超えるような充実した毎日を過ごして、かっこいい大人になりたいと思います。

チームっていうと大きなものに感じるけど、その実態は個人。だけど、個人のかける熱量と行動が、またChargersに新しい血を流していくんだなあと思う。矛盾していそうだけど。

2020という特別な年を乗り越えた俺たちは、間違いなく強くなっている。
Chargersはどういう変化をして、強く大きくなるんだろう。

All Out.